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エンドブレイカー!(TW3) の言葉に聞き覚えの無い方は、どうぞ回れ右を。 ただの一人の道化師の、覚書。或いは、その記憶と記録。
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少し前に、別の世界? の一部ではやっていたらしい、ものを。
うちの後ろが、やってみたそうだよ。

私が、知らないこととか。
いっぱい、もりだくさんらしいから。
見た人は、知らんぷり。よろしく、な。

こちらのところから、しつもんはお借りしてきたよ。
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 大きな、とても大きく見える、女の人。
ぼくは、その胸に抱かれて、心底安心して眠る。そこが、最上の揺り籠であるように。

 女の人は、いつもぼくを見て笑ってくれる。
その傍らには、いつも女の人を優しく見守ってくれる男の人がいて、その人に抱かれた時は少し怖かった。
けれど、男の人はいつも女の人を守ってくれたから、ぼくは男の人も大好きになった。
もちろん女の人は、ぼくの一等大好きな人。

 ぼくが笑うと、二人とも笑ってくれた。
ぼくが泣くと、二人は困ったように、けれど笑ってくれた。



 とても、大好きだった。



 ある日、いつの間にか男の人はいなくなってしまった。
女の人は、ぼくが泣いても笑っても、ほとんど笑わなくなってしまった。


 だから、ぼくは。
女の人を、男の人の代わりに守ろうって誓ったんだ。



+++



 ふ、と。
頬を暖かいものが伝ったような気がして、目が覚めた。
うっすらと目を開けると、私は雨の降りしきる中、外套を身体に巻いて、廃屋の軒先で眠っていたらしい。

 ――そうだった。昨晩、屋根のあるところが見つけられなかったのだ。
座っているところの、下の段差に雨水がばしゃばしゃと水を跳ねている。
見上げると、上にちらほらと穴が見受けられる。先程頬を伝ったのは、この雨水だったのだろうか。

 早めにここを出て、もっと雨を凌げる所に行かなければ。
そう思うのだけれど、先程の感覚が後を引いて、何故かその場から動けなかった。


 さっき、なにかを。
大切なことを、思い出しかけた気がしたのだけれど。
今覚えていないということは、ただの夢だったのだろうか。


 足の爪先を身体にくっつけるようにして膝を抱いた。
身体は冷え切っていて、丸くなっていても暖かさはやってこない。


「……さむい、な」


 さっきは確かに、暖かかった気がしたのだけれど。
る、る。
たどたどしく、メロディを辿る。
いつ知ったのかも覚えていないその旋律は、誰に聞かせるものでもない。

一人、歩く道の静けさが怖くて、口をついて出たのが始まり。
意外と自分は情けないのだな、と思ったのがひとつと、自分は口笛を吹けないのだと知ったことがひとつ。

一人で辿る音は、楽しい。
人に聞かれていると緊張してしまうから、ふと思い立った時に、裏路地に入っては旋律を辿る。

る、る。
音に夢中になっていると、来た道を見失うこともよくある。
しかし、新しい道を探すのも楽しくて、またつい口が動く。


今日も、誰にも聞かせるつもりのない歌を辿る。
『もう少し、笑ってみたらどうだ』


その言葉を聞いたのは、エンディングを壊して壊して、暫く経った頃。
往くあての無い旅人と、生活を共にしていた頃だった。


『私は、笑えないんだ』


些細な、嘘をついた。
事実、私は過去に一度しか人に笑顔を見せていない。
その人は、喪ってしまった。

彼はぽかんとした様子で、なら、と私を無理矢理洋服屋に連れて行った。


『そんな陰気な服を着ているから気分も暗くなるんだ! 好きな服を選んでいいんだぞ』


どこからそんな金が出るのか。
お前は旅人じゃないのか。
旅人はそんなに稼いでいるものなのか。
疑問は次々と湧いたが、私は一言『黒がいい』と言った。

黒い服を好むのは、未だに昔の大切な人のことを引き摺っているからだ。
そんな心中も知らず、旅人は黒い道化師の服を選んで、私に着せた。


『こんな格好の者と歩いていて恥ずかしくないのか』


聞いたが、笑われるだけだった。


***


その旅人と暫く過ごした。
私は、なんとなく。
この旅人は、本当にいい人なのだと思った。

そして、そんな探り探りを入れてしか人と接していけない自分が心底空しくなった。
こんな風に、人を無条件に信じられたら、人生というものは私の前では光り輝いていたのだろうか。


幾つ、その旅人とエンディングを壊しただろう。
彼はエンドブレイカーではないのに、私と共にいることで幾つもエンディングを壊していった。
もっとも、見るのは私だし、マスカレイドを滅するのも私だったのだが。
だから、その日もいつものようにエンディングを壊すのだと思っていた。


標的の、バルバの姿を目視するまでは。


エンディングを見たことで、こいつと戦うことはわかっていた。
だが、足が石のように動かない。
細かな震えが、全身を駆け巡る。
エンディングを見た、少女を彼が身を呈して守った。

私は、彼の名前を呼んだ。
赤に塗れていく彼を見て、全身の血が引いていった。
動けないなんて言えなかった。
デモンフレイムを、何発も、何発も、打ち込んだ。


残ったのは、焼き焦げたバルバと、赤に塗れた彼。
私は、赤くなってしまった彼に、少女は無事に逃げたようだと告げた。


こういった時、彼は泣いたのだろうか。
私は、雨の日に、彼を埋葬した。
私の力では到底、濡れていない土は固くて掘り起こせなかったのだ。
墓前には、彼女と同じ花を手向けた。


残ったのは、後悔。
そして、胸の奥に残った、暖かさ。


雨の中。
私は、これが全て私の涙であればいいと考えていた。


昔の話、である。
今日も曇天。
思えば、物心ついた頃の記憶で、一番古い記憶も、曇天だった。


スラム街を歩いていた。
膝は笑っていて、何故か持っていた大鎌に縋りつくように歩いていた。
何があったのかは、わからない。思い出せない。
ただ、前に進まなくては。そう思ったことは、確かに覚えている。


ある程度の地層に出たら、城塞騎士に保護された。
その中で、一人。
幼い私を気にかけてくれた女性がいた。
私は、彼女を気に入っていた。
こっそり、彼女がいつも気にかけていた笑顔を練習した。
私は、笑えなかったのだ。何故か知らないが、笑った記憶がない。もしかしたら、スラム街での最古の記憶以前は笑っていたのかもしれないけれど、思い出せなくて。
笑わない私を心配している彼女を、安心させてあげたかった。


ある日。
彼女の瞳に、何かが見えた。
彼女が、いきなり出現したバルバに襲われて、亡くなってしまう光景。
私は戦慄した。彼女が死ぬなんてこと、あっていい筈がない。だって、彼女は。
私の、私の――


私は次の日、彼女にこっそり練習した微笑みを見せてみた。
彼女は、とても喜んでくれた。
そうして、言った。

『今日は、未開発の地区に行く予定があったから。あなたの笑顔を見れて、元気が出たわ。帰ってきたら、もっと笑ってちょうだい』

私は、知らなかった。
その未開発の地区こそが、彼女の最期の場所になることを。


その後、私は彼女の墓に花を手向けた。
そして、かつて私が持っていた大鎌を手に、城塞騎士の管轄内の病院を飛び出した。
笑顔は、すっかりと消えていたような気がする。
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